“動く城”で季節を追いかけて。黄色いボンゴ『ノエル号』と走る、ご夫妻のVANLIFE
今回お話を伺ったのは、『暮らしとくるまフォトコンテスト2025(夏)』で『#くるまデコ賞』を受賞したyokko7393さん。還暦を迎えたご夫妻は愛車のマツダ ボンゴ『ノエル号』で、クルマで暮らすように旅をする『VANLIFE(バンライフ)』を楽しまれています。そして最近では、奈良と岐阜での二拠点生活をスタートされました。一年中、絶景をめぐる旅をしたい——そんな想いを胸に、四季の移ろいを味わう日々を送るyokko7393さんご夫妻の暮らしに迫ります。
目次
ミモザのリースと黄色いボンゴ
―まずは、『#くるまデコ賞』のご受賞、おめでとうございます。受賞作品の、黄色いボンゴにリースが飾られている写真がとても印象的でした。あの一枚は、どんなシーンで撮影されたのですか?
『♯くるまデコ賞』受賞作品
あれは、「VAN JAM」というイベントのマルシェに出店していたときの写真です。ミモザのリースやスワッグを販売していて、ふと「クルマに飾ってみよう」と思い立ちました。実際に飾ってみると、ノエル号の黄色とミモザの色合いが想像以上に合っていたので、撮影したんです。
―yokko7393さんのひらめきから生まれた写真だったんですね。マルシェにはどのようなきっかけで出店されたのでしょうか?
昔から私はガーデニングが好きで、毎年4月に庭のミモザがたくさん咲くと、ご近所の方にお裾分けしたり、フラワーアレンジメントをつくったりして楽しんでいました。それに「クルマでお花屋さんをやってみたい」という夢もあったんです。
自宅で育てたミモザでフラワーアレンジメント製作
そんなときに、このイベントへの出店のお話をいただきました。黄色いボンゴならミモザと相性がぴったりなので、思い切ってつくったアイテムを販売することにしたんです。
『VANJAM』でのマルシェ風景。ミモザのアイテムは完売したそう!
工夫と想いが詰まった『ノエル号』
―愛車で全国を旅されているそうですね。そもそも、VANLIFEを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
もともとは、キャンプがきっかけでした。夫がソロキャンプを趣味としていたところに、私と愛犬が加わって、ファミリーキャンプへと広がっていきました。
ただ、キャンプは設営が毎回大変だと感じていたんです。あるとき、車中泊の動画を見て「これはいい! 」と思い、キャンピングカーを検討するようになりました。そして、3年ほど前に自宅の駐車場にぴったり収まり、レトロな見た目が好みだったマツダ ボンゴを購入。『ノエル号』と名付けてVANLIFEをするようになりました。
―『ノエル号』はとてもすてきな名前ですね。どんな由来なのでしょうか?
この名前は、もともと一緒にキャンプをしていた愛犬ノエルが由来です。
愛犬ノエルちゃん
VANLIFE用のクルマを探していたころ、なかなかいい出会いがなかったのですが、このボンゴが見つかったその日に、ノエルが天国へ旅立ったんです。タイミングが重なったことに特別な縁を感じて、このクルマを『ノエル号』と名付けました。
―『ノエル号』は特別なクルマなんですね。外装や内装もDIYされているそうですが、ポイントを伺えますか?
まず、外装のパンプキンスープのような黄色は、自分たちで塗装しました。
準備は私も手伝ったのですが、塗装は全部、夫がやってくれたんです。
夫が一人でキャンプに行くときのことも考えると、“あまりかわいすぎる色はどうかな……”とも思ったのですが、「せっかくなら明るい色がいい」と交渉して、最終的に私の好きな黄色に落ち着きました。
DIYで塗装中の様子
―『ノエル号』は“動く城”と呼ぶほど居心地が良いようですね。こだわりのポイントを教えてください。
DIY好きな主人がイチから仕上げた、かなり本格的な内装です。納車後のDIY計画を立て、天井を外すところから、床張りまで約3か月かけてすべて自分たちでやりました。
製作途中の車内
特に寝るための空間と断熱にはかなりこだわっています。夏も冬もなるべく快適に過ごせるように、断熱材をしっかり入れて、ベッドの高さや硬さも身体が痛くならないよう工夫しました。
製作途中の車内
内装の飾りつけは、私の好みですね。外装に使っている黄色に加えて、水色も好きなので、キッチンまわりや小物に取り入れています。
憧れのモロッカンタイルでDIYしたミニキッチン
お気に入りが詰まった、居心地の良い空間になっています。
季節とともに走るVANLIFE
―『ノエル号』でこれまで行った旅の中で、特に印象に残っている場所はありますか?
北海道ですね。北海道で一番標高が高い旭岳に登ったときに見た、初冠雪の景色が忘れられません。
360度ぐるっと見渡す限りすべてが絶景で、体力的にはかなりきつかったのですが、それでも“来てよかった”と心から思えた瞬間でした。
―写真だけでも迫力がある景色ですね。もともと登山の経験はあったんですか?
実はほぼ初心者だったんです(笑)。
車中泊の旅は、どうしても運動不足になりがちなので、“じゃあ登山でもしてみようか”という思いつきで始めました。
旭岳に登った日も、現地で初冠雪のニュースを聞いて、その日のうちに現地のモンベルで雪山登山の装備をそろえて挑戦しました。かなり風の強い日で、観光で来ていた登山客の方々は下山していたんですが、気づいたら私たちは9合目まで来ていて……。“あと少し! ”と思い、そのまま登頂しました。過酷な登山だったので、無事に登頂できたときは、本当にうれしかったですね。
―すごい行動力ですね!
“涼”を求めて。決意した二拠点生活
―現在は二拠点生活をされているそうですね。きっかけは何だったのでしょうか?
一年中、『ノエル号』で絶景を追いかけたい気持ちはあるのですが、夏の車中泊は過酷です。どんなに標高の高い場所を選んでも、寝苦しく、本当に大変でした。そこで思い切って、標高900mの高原に小さな別荘を持つことに決めました。
―夏は避暑地での別荘生活なんですね。憧れます! そこではどんなふうに過ごしているのですか?
2025年4月から住み始め、今は夫が内外装の修繕やDIYを進めてくれています。
私は庭や畑をつくりたくて、今は土づくりからスタートしているところです。
もともと別荘は夏だけ過ごす場所にする予定だったんです。でも、他の季節の景色も本当にきれいで、四季を味わいたくなって、つい長居してしまっています。
―では今は、VAN LIFEよりも別荘での暮らしを楽しんでいる時期なんですね。
そうかもしれませんね。今は別荘のDIYや畑づくりに時間を使っていて、あまり遠くへクルマ旅には出られていません。でも、”死ぬまでにここへ行きたい”という場所はまだまだたくさんあります。私はよく「行きたいところには早く行かないと。」と夫に話していて。絶景の紹介を見るたびに、「次はどこに行こうか?」と、自然とふたりで相談するようになりました。夫も早めに仕事をリタイアして、今は一緒に出かけられる時間がたっぷりあります。だからこそ、まだまだ行きたい場所も、やりたいことも尽きません。
3年前に“第2の人生を始めよう”とVANLIFEをスタートしてから、本当に自由に旅をしてきました。
自然の中で暮らして体力を落とさずに過ごしつつ、別荘が完成したら、またノエル号で旅に出たいと思っています。
“動く城”『ノエル号』と自然とともに生きるという選択
―改めて、yokko7393さんにとって「クルマ」とはどんな存在ですか?
もう単なる移動手段ではないですね。もともと私たちにとってクルマは生活の延長線上にあるもので、「遊ぶためのクルマ」という感覚はなかったんです。でも、『ノエル号』に出会って変わりました。
ノエル号は、私たちの人生の選択肢を広げてくれた、まさに“動く城”です。もし『ノエル号』がなかったら、VANLIFEという生き方を選んでいなかったかもしれない。
そしてVANLIFEをしていなかったら、山の麓に小さな別荘を構え、季節とともに暮らす二拠点生活もきっと始まっていなかったと思います。
ノエル号があったからこそ、見たい景色に出会えたし、知らなかった生き方を選ぶ勇気も持てた――そんな、大切な相棒です。もし次にクルマを乗り換える日が来ても、“ノエル号は残してほしい“と夫にお願いしているくらい、ずっと一緒に過ごしていきたいと思っています。
クルマがあるから、描ける楽しい未来
黄色いボンゴ『ノエル号』は、yokko7393さんご夫妻にとって、単なる旅の移動手段ではありません。暮らしの幅を広げ、人生の選択肢を広げてくれた、かけがえのない存在です。
「別荘が完成したら、またノエル号で旅に出たいですね」
そう語ってくださったときの表情には、これから出会う景色への、穏やかな期待がにじんでいました。ノエル号とともに、仲睦まじいご夫妻の人生の第2章は、これからも穏やかに、そして自由に続いていきます。
取材協力・写真提供いただいたInstagramフォロワーさん:yokko7393さん
