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公開:2020.9.9

高齢ドライバーの運転をサポートする「サポカー」。進化しているその機能って?

ちかごろ心配になってきた高齢のご両親や家族の運転。そんな高齢者の安全運転を補助してくれる機能をもつ「サポカー(安全運転サポート車/セーフティ・サポートカー)」があるのをご存知ですか。高齢者の死亡事故の原因に多い操作ミスを減らす機能を搭載したクルマで、購入や機能の設置に対しては、「サポカー補助金」を受けることもできます。では「サポカー」とは、どんな技術で、なぜ事故の心配を減らすことができるのか? 詳しくご紹介します。

目次

誰にでも起こりうる運転ミス! 先進安全技術で運転をサポート

多くの人が運転中のちょっとした気のゆるみで操作を誤り、ヒヤッとした経験があるのでは? それは紙一重の動作で運よく事故を回避できただけ。そして年齢を重ねてくると、そんな少しの「操作不適」いわゆる操作ミスから、大きな事故を引き起こす可能性が高くなります。実際に、死亡事故における高齢者の運転操作ミスによる事故の割合は増加しています。

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画像素材:PIXTA

そんなドライバーの操作ミスを減らす目的で開発されたのが「サポカー」です。「車線逸脱警報装置」「自動切替型ヘッドライト」などさまざまな機能が生まれ、クルマに装備されるようになってきました。

 

特にブレーキの踏みそこないやアクセルとの踏み間違いを抑制するための「対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ」と「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」の2つの機能は、政府が推奨していて、自動車に装備すると「サポカー補助金」を受けることができます。

 

ただ、これらの先進安全技術はあくまでもサポートが目的。また、先進安全技術は、メーカーによって作動する状況が異なり、サポートする内容も音で警告するだけのものやブレーキが自動で作動するものなど多岐に渡るので、どのようなときにサポート機能が働くのか、しっかり確認しましょう。

機能には限界があり、ドライバーが安全運転をしてこそ生きる機能でもあります。

前方の歩行者に対して、ブレーキが作動する機能

では、サポカー補助金を受けることができる機能の「対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ」と「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」。この2つについて、詳しく説明していきましょう。

 

まずは「対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ」。これは、ブレーキを踏みそこなったときに働く機能で、前方の事故防止をサポートします。

 

自動車に搭載されたレーダーやカメラが、前方の車両や歩行者を察知して追突・衝突の可能性を感知すると警告が鳴ります。またブレーキ操作がなく追突・衝突の可能性が高い場合は、自動ブレーキが作動。たとえば前方の見通しのよくない場所やうっかり注意を怠った場面で、いきなり歩行者が現れたら、焦ってブレーキを踏むのが遅れてしまうかもしれませんよね。そんなまさかのときのサポート機能です。ただし、走行時の周囲の環境や規定速度をオーバーしていると正しく作動しないこともあります。車種ごとに異なる作動条件をしっかり把握したうえで、過信せず運転しましょう。

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画像素材:PIXTA

この機能は、基本的に自動車に後付けができないので、その機能を搭載したクルマ(新車・中古車どちらも可)に買い替えるときのみ補助金を受けることができます。また歩行者に対してその機能が作動するものを装備することも条件となります。

 

衝突被害軽減ブレーキは、2021年11月以降の国産新モデルからは、段階的に設置が義務化されることも決まっています。

アクセルブレーキの踏み間違いを抑制

2つめの「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」。これは、オートマチック(AT)車で停止時や低速時にアクセルとブレーキのペダルの踏み間違いを抑制する機能です。主に店舗や壁に突入する事故防止を目的にしていて、多くの製品が低速時、アクセルを踏み込んだ場合に、警告し、エンジンの出力を抑えてくれます。カメラやレーダー、ソナーが前後の壁や車両を感知するものもあります。

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画像素材:PIXTA

この機能は、今乗っているクルマに後付けで設置できます。例えば『ペダルの見張り番Ⅱ』という製品は、国産車200車種以上に対応しています。この製品をモデルに「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」をくわしく紹介しますね。

 

時速10km未満の徐行時にアクセルの急な踏み込みを検知すると、強制的にアクセル信号をカット。ブザーが鳴ります。そしてクリープ現象のままゆっくりと進みます。いきなりスピードが出ることがないので、ブレーキを踏むまでのゆとりが生まれるわけです。

 

また前進・後退のどちらにもこのシステムは対応しています。あまりないとは思いますが、ブレーキとアクセルを同時に踏み込んだときは、ブレーキ信号を優先して急発進を抑制します。

しかし、急な坂道や段差などパワーのいるときには、強い踏み込みが必要ですよね。その場合は、「一時キャンセルボタン」を押すことにより、瞬間的な踏み込みが可能です。また、時速10km以上の状態からのアクセルの踏み込みは、これまでと同じ。高速道路の合流時などでは問題はないそうです。ただ、あくまでこの機能は「急発進を抑制する」ものなので、車両を停止させることができません。ドライバーがブレーキを踏んで静止をさせてください。

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画像素材:PIXTA

ご両親やご家族が65歳以上のドライバーでマイカーをお持ちなら、サポカー補助金の対象になるのでプレゼントをしてもいいかも。オートバックスでは、約2時間程度の作業時間で設置から調整・動作確認までフォローしています。気軽に設置できるのも嬉しいですね。

ふらつき運転や逆走運転の防止機能も開発!

これまで紹介した2つの機能以外にも、高齢ドライバーが増えていくこれからの時代に向け、安全運転をサポートする機能がどんどん開発されています。

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画像素材:PIXTA

たとえば、車体に設置したカメラは車線を認識して、踏み越える可能性があると判断すると運転者にお知らせを送る「車線逸脱警報装置」。ふらつき運転をサポートしてくれます。また対向車などがくると自動でライトをハイからローに切りえたりする「自動切替型ヘッドライト」なども、夜間の運転を助けてくれます。近年ニュースなどでもよく目にする高速道路での逆走を防ぐためカーナビゲーションやドライブレコーダーと連携した「逆走防止装置」が積極的に進められているそうです。

 

これらの機能は今のところ「サポカー補助金」の対象ではありません。でも間違いなく事故の心配を減らしてくれるので、クルマの買い替えの際には、こういった機能が搭載されていることを検討事項に入れておくとよいと思います。

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画像素材:PIXTA

事故を減らすための先進安全技術はどんどん進化しています。けれどもそんな機能を持ってしても、100%事故を防ぐことは残念ながらできません。ただ安全運転をこころがけながら、サポート機能を十分に理解して上手に使うと、事故に遭う可能性は減らすことはできます。

 

高齢のご両親やご家族に「サポカー」機能の設置をおすすめするとともに、これからも安心で快適にクルマに乗り続けて楽しんでもらうため「高齢者の安全な運転」についての話し合いをしてみては? よいきっかけになるかもしれません。

 

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