自動車の保険「自賠責保険」と「任意保険」ってどんなもの?
自動車を所持するとかかる諸費用。購入するときの初期費用だけでなく、維持費も含めて考えていきたいですね。その中で、もしものときの備えである自動車の保険については、いまひとつわかりにくいなと感じている人もいるかもしれません。
自動車の保険は大きく2つに分かれ、購入時と車検時に強制加入が義務付けされている「自動車損害賠償責任保険(以下、自賠責保険)」と、自分で補償範囲を選ぶことができる「任意保険」があります。
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自動車保険は、100年以上前に生まれた保険制度
そもそも自動車保険は、ガソリン自動車が発明された10年後の1896年に、イギリスで初めて制定されました。日本では、少し遅れて1914年ごろに始まったといわれています。当時のクルマは超高級品であり、その財産ともいえる車体を守る意味(車両保険)でつくられたのです。
けれども市中にクルマの台数が増えるにつれ、当然事故も多くなり、クルマそのものだけでなく、人(対人補償)やモノ(対物補償)を意識した保険へと変わっていきました。これが任意保険と呼ばれる「自動車保険」の成り立ちです。
さらに日本では1650年代に被害を受けた方への救済措置の検討が始まります。そして生まれたのが強制保険と呼ばれる「自賠責保険」です。
加入をしていないと公道を走らせることができない「自賠責保険」
自動車損害賠償保障法に基づき、「自賠責保険」に加入していない場合は、自動車を公道で走らせることができません。そのため、自賠責保険は強制保険とも呼ばれています。なぜ強制なのかというと、交通事故による被害者の救済のため。
もし、交通事故で誰かにケガをさせてしまったら……。加害者となってしまったときに、相手方の治療費や慰謝料などの負担を十分できるとは限りません。
加害者が支払うべき被害者への補償を経済的に補助するために、強制加入を義務づけています。
自賠責保険の補償範囲は、傷害から後遺症の残る障害、死亡といった被害に応じてその金額が支払われることになります。補償額は上限があり、死亡による損害では最高3,000万円の支払い基準が定められています。
自賠責保険は、クルマの購入時や車検時に、ディーラーや車検業者が手続きをしてくれる場合が多く、さまざまな費用とともに加入費用を支払っています。そのため、その金額や補償について、あまり気にしていない人も多いかもしれません。
もし万が一、未加入だった場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。 また無保険での運転は、交通違反となり即座に免許停止処分となります。
自動車を運転する方にとっては、非常に大切な保険です。改めて確認しておくといいですね。
また、あくまで自賠責保険は、対人賠償事故の補償です。運転者の死傷、自動車やモノに対しては、一切補償がされません。そこで、任意加入の自動車保険が必要になります。
もしものときに心強い。さまざまな補償内容を選べる「自動車保険」
交通事故は、相手方だけでなく、運転者自身もケガをしたり、自動車やモノが傷ついたりすることもあります。そこで助けになるのが、任意に加入する「自動車保険」です。
自動車保険は、補償範囲が多岐に渡り(保険会社によっても異なります)、私たちが補償内容を自由にカスタマイズし、保険料を計算して選ぶことができます。自賠責保険の対人賠償補償だけではなく、それに上乗せする保険として加入することが多いです。
自動車保険の補償は大きく3つに分けられます。
1.相手への補償
これは、自賠責保険ではまかないきれなかった、被害者への死傷に対する補償(治療費や慰謝料)「対人賠償保険」です。また、相手方の自動車や他人の財物を壊した場合の「対物賠償保険」もあります。
2.自分への補償
事故では自分や同乗者が死傷するケースも発生します。そういった場合に、治療費や休業損害、治療費などを補償する「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」などがあります。
3.車両の補償
そもそも「任意保険」の始まりである、自動車に損害が生じた場合に補償される「車両保険」です。
自動車を購入するときに、ディーラーなど購入店で保険会社をおすすめされて、加入する人も多いかもしれません。
こんなときには、どんな補償が必要になるの?
では、その「任意保険」では具体的にどういった場合に、どの保険が必要になるのでしょうか? 具体的にいくつか例を挙げてみます。
「ガードレールにぶつかって、自分の自動車がへこんでしまった」
自分の車両に生じた損害を直すのに保険を使いたいのなら「車両保険」への加入が必要です。この保険は損害の対象が細分化されていることも多く、追突事故のほか、台風や洪水などの災害、盗難やいたずらを受けた場合など、さまざまな場面に対しての補償を、自分で選ぶことができます。
「ブレーキとアクセルを踏み間違えて、店舗に突っ込んでしまった」
この場合は相手の財物を壊してしまっているので、「対物賠償責任保険」になります。事故で相手の自動車を傷つけたり、壊してしまったりした場合も対象になります。
「交通事故で入院や通院が長引き、医療保険ではカバーできない」
この場合は、自分のケガに対する補償として「傷害保険」が必要です。保険対象者に対して、過失の有無に関係なく治療費や休業補損害などを補償するものです。
「自動車保険」は、このような状況を想定して、補償内容や金額を自分で決めることができます。マイカーが破損した場合を想定して、修理費の自己負担を少なくしたいと思うなら「車両保険」を手厚くするといいでしょう。また被害者や自身、同乗者の死傷の際も受け取る金額により、かける保険料が変わってきます。ご自身のケガの保険は、別で申し込んでいる生命保険で支払われる場合もあるので、ご自身で調べたうえ、その兼ね合いで設定するのもいいでしょう。
もしものときを考えて、安心・納得できる自動車保険を
マイカーを長く所持していると、保険料はそれなりに費用がかかる印象がありますね。けれども、もしものときには必ず助けになるものです。
なかには、バッテリーが上がりや事故、故障時のレッカー移動、応急対応サービスなどの無料ロードサービスが付いている場合もあります。また事故が起きた際に相手との間に入り交渉を行ってくれることも。補償内容をよくみて、自分にあった適切な保険を選びたいですね。
オートバックスでも自動車保険の相談ができますので、今、自動車保険になんとなく入っているなら、この機会に見直してみるのもいいかもしれません。