ジムニーシエラで行くソロキャンプ ~非日常空間で日常を楽しむ~
キャンプは、屋外でお気に入りの道具たちと触れ合いながら、いつもと異なる暮らしにアプローチする時間です。ソロキャンパーの私流の楽しみ方をご紹介します。
目次
キャンプは、実は人が日々暮らしていくための基本的な作業と同じ
週末、特別な用事や台風でも来ない限り、その多くをキャンプに費やしている身としては、キャンプはそんなに特別なものではなくなってきました。私の場合、キャンプは基本ソロ(一人)なので、行くか行かないかは当日朝の気分で決める場合もあります。もっとスマートで理想的なキャンプがしたいという前向きな気持ちのとき、ふと出かけることも。
家族も、週末は私がキャンプにいくのが普通だと思っているのかお小言はなくなりました。どこに出かけたのかは、LINEのやり取りや、私のインスタを見て知る、最近はそんな感じです。
ジムニーシエラのラゲッジルームには一年中、キャンプ道具一式を積んでいます。降ろすと必ず何かしらの忘れ物をするので、出し入れするのは、燃料系の補充や冷凍庫で冷やした保冷剤ぐらいです。
ですから、朝起きて30分後には自宅を出ます。キャンプに限らずクルマで行くレジャーは渋滞がつきものなので、1分でも早く出かける。これが肝心です。
ある日、TVで「キャンプには生きるためのすべてが詰まっている」というアウトドア大好きのタレントさんを見ました。私はそこまで思ったことはありませんが、あながち間違いではないと思います。
キャンプサイトにテントやタープを張るのは、寝室やリビングをつくること、火起こしや調理用ストーブをセットするのはキッチンづくり、食事の準備から後片付け、洗濯など、やっていることは人が日々暮らしていくための基本的な作業です。
ホテルや旅館とは違いますので、外気の寒暖を直に感じることもキャンプならではの体験です。夏は打ち水や風鈴で涼を取り、冬は焚き火や湯たんぽで暖を取る。ひと昔前の生活を体感できるのもキャンプならではの楽しみです。
ランタンに灯を入れるころ、子どもたちのはしゃぐ声とともに各サイトからパチパチと煙が立ち上ります。手際のいい家族、見るからにキャンプ初心者と思しき家族などさまざまですが、ちょっと不便な生活をする姿は、どの家族もどことなく楽しそうに見えます。
キャンプ道具選びの基本は「衣・食・住」から
キャンプを楽しく、快適、安全に過ごすには、道具選びが大切です。クルマが隣接できるオートキャンプ場であれば、かなりの荷物を積載できるので、バリエーションも広がります。
アウトドアライフは戸外での生活ですから、必要な道具は「衣・食・住」にかかわるものになります。
まずは「衣」です。私がキャンプを始めるとき、アウトドア専門店のスタッフに「何から揃えたら良いか」と尋ねたら「下着」という予想外の答えが返ってきました。標高の高い山間部は真夏でも息が白くなることがあります。邪魔と思っても一枚上着を多く持っていくことが大切です。寒さで寝られないキャンプはとても辛いものです。
厳密には「衣」ではないかもしれませんが、私のシュラフ(寝袋)は、マイナス15度にも耐えられるタイプで、これを一年中使っています。暑いときは敷き布団、掛け布団として使えばいいので、通年キャンプをしようと思っている方には冬用のシュラフをおすすめします。
次は「食」です。食事はキャンプのメインイベントです。普段と変わらない食事でも、星空の下での食事は、格別なものがあります。慣れないうちは大変ですが、着火剤を使えば簡単に炭を起こせます。火起こしに新聞紙を使う方もいますが、あまりおすすめできません。燃えた新聞紙が舞い上がってテントに穴をあけてしまうことがあるからです。
焚き火は食事をつくり、暖を取るだけでなく、夜間の明かりにもなるので、キャンプの夜には欠かせません。最近は直火ができないキャンプ場も増えていますが、焚火台を使えば同じように楽しめます。安いものでは2,000円ぐらいで売っていますので、一台持っているだけで楽しみが広がります。
最後は「住」です。キャンプの「住」はテント、イス、テーブル、コット(キャンプ用ベッド)などです。いずれも大物のキャンプ用品で、かさばるものも多く、価格もそれなりにします。
キャンプ初心者や年に1,2回のキャンプでしたら、購入せずにレンタルすることをおすすめします。レンタルでどのぐらいの大きさの道具が必要なのかを確認後、自分のスタイルにマッチしそうなものを購入すれば、買い直しなどの失敗も少なくなると思います。
また、キャンプは楽しいことだけでなく、火やナイフを使うので事故にも気をつけたいです。今はYouTubeなどで、一般のキャンパーさんが、テントの立て方、ロープワーク、火の起こし方、おすすめのキャンプ道具などを親切丁寧にわかりやすく紹介してくれています。
私も、キャンプ初心者のころは何をやっても手こずり、時間ばかりかかって何も楽しめませんでした。もちろん、今では簡単にできることが増えましたが、もっとこうしておけば楽しかったかも、もっとこんな道具があれば……といった思いは、いつも残ります。
そんなキャンプの奥深さと向き合うために、今もキャンプに通っているのかも知れません。
文・写真 / 貴堂 郁