これよく聞かれます。テントやタープを張って焚火して、酒のつまみを用意してビールを飲む。加えてインスタグラムをやっているので、その様子をスマホで撮ってアップする。これが私のキャンプ場での主な時間の費やし方です。

その合間にはジムニーシエラで近場の日帰り温泉や地元のスーパーに買い出しに行きます。地元のスーパーで珍しいカップ麺やレトルトカレー、地酒などをチェックします。こういうとき、ソロは気楽だなぁとつくづく感じます。グループでキャンプに行ったら、慌ただしくてこういう時間はまずありません。

本当はテントを設営すると、すぐにクーラーボックスから冷え冷えのビールを取り出したいところですが、夕食まで我慢しましょう。何もしたくなくなります。キャンプ場で昼寝をするというキャンパーもいますが、私の場合は段取りが悪いのか、昼寝をする時間は取れません。

インスタグラムをやっていてこんな経験をしたことがあります。あるメジャーなキャンプ場でインスタにサイトの写真をアップしたら、「ドッグランの近くですか？」というメッセージが届きました。その数分後、子どもとその母親が私のテントの前にきて、「〇〇さんですか？」と私のインスタのユーザー名を言うではありませんか！

母親は私のフォロワーの方で、たまたま同じキャンプ場にいてインスタにアップした写真を見て、訪ねてきたとのこと。SNSにはこんな一面もあるのだなぁと思いました。ほかにも、投稿した写真の後ろに写っているのは私のテントですよとか、昨日見たそのテント買おうと思っているのですが使い勝手どうですかとか、インスタグラムの反応にはさまざまなものがあります。

ということで、スマホ1台もっていけば、退屈することは特にありません。

これも定番の質問です。人にもよると思いますが、見た感じはたしかに寂しそうに見えますね。でも、ソロキャンパーはだれもが承知の上ですから、特別に寂しいとは思っていないです。

最近は、キャンプブームでソロキャンパーもかなり増えてきました。ファミリーキャンパーとソロキャンパーには過ごし方が違うからなのか見えない壁を感じることもあります。でもその壁は、「こんにちは」とか、「よろしくお願いします」という声掛けひとつで超えることができます。

初対面で話しかけるのは、多少勇気がいるかもしれませんが、それはお互い様です。あとになればなるほど声が掛けにくくなるので、キャンプサイトに着いたらすぐに「こんにちは。よろしくお願いします」と一言掛けておけば、皆さん笑顔や会釈で返してくれます。

キャンプは何が起きるかわかりません。ナイフで指を切ってしまったり、やけども多いです。私の場合、何度キャンプに行ってもなくならないのが忘れ物です。私も隣のキャンパーさんに助けてもらったことも、助けたこともあります。一言挨拶しておけば、いざというときに、頼みやすくなります。

そして、こんな出会いもありました。

隣のサイトにいたのは、バイクでソロキャンプに来ている新社会人でした。クルマに比べてバイクの積載量は限られます。小さい焚火台を前に火が付かなくて困っていたので、こちらに来て一緒に焚火しませんか？ と声を掛けたら「いいんですか？」 と最初は遠慮がちでしたが、あたたかな火を前に話しているうちに気がついたら何時間も経過していました。

入ったばかりの会社を辞めたいという若い時期ならではの悩みを聞きましたが、連絡先などもお互い知らないまま別れました。その後、彼はどうなったのか？ ふと思い出すときもあります。

ソロキャンプは自分のペースで過ごす贅沢な時間とともに、同じ場所にいた人々との予期せぬ出会いがあったりします。これが私のソロキャンプの楽しみ方です。

文・写真／貴堂 郁