どうやって選ぶの? タイヤの性能やクルマのタイプにあったタイヤの選び方
運転をする前に必ず確認しておきたいことのひとつである「タイヤ点検」。安全にドライブするためには、タイヤの空気圧・残り溝・キズ・ひび割れなどのタイヤに異常がないかをチェックする必要があります。 それでは、もしタイヤ点検をしてタイヤ交換が必要となった場合には、どんなタイヤを選んだらいいのでしょうか。今回は、タイヤを選ぶときに知っておきたいポイントを紹介します。
目次
タイヤの交換が必要なタイミングやタイヤの状態
タイヤ点検は、道路運送車両法で運転者に義務付けられている「日常点検」の一部です。お出かけ前にはもちろん日常の運転前にも、安全のために必ず点検を実施する習慣をつけましょう。
タイヤ交換が必要なタイミングは、タイヤの残り溝が2㎜以下に減った場合やキズ・傷み・一部分だけ溝が減ってしまった場合、タイヤ交換してから4~5年以上経過している場合です。
さまざまなタイヤの種類
タイヤの性能のひとつとして、低燃費性能があります。燃費の向上を示す統一基準のうち一定以上の基準を満たすタイヤが「低燃費タイヤ」です。
また、クルマの形状などに合わせて専用設計されたタイヤとして「ミニバンタイヤ」、「SUVタイヤ」、「電気自動車向けタイヤ」などがあります。クルマの形状に合ったタイヤを選ぶことで、安全性能や快適性が向上し、タイヤをより長く使うことができます。
それぞれのタイヤの特徴を順番に紹介します。
「低燃費タイヤ」が示す低燃費性能やグリップ性能とは?
「低燃費タイヤ」とは、タイヤの転がり抵抗を少なく(転がりやすく)して燃費を改善し、濡れた路面上でのグリップ性能(滑りにくさ)も確保されたタイヤです。オートバックスなどのカー用品店で販売されているタイヤの多くが「低燃費タイヤ」に該当する一定の基準以上のタイヤです。
転がり抵抗の性能は5段階のグレードのうち「AAA」「AA」「A」の3つ、濡れた路面上での性能を示すウェットグリップ性能は「a」~「d」の範囲内のものが「低燃費タイヤ」と定義されています。「低燃費タイヤ」には、下の写真の低燃費タイヤ統一マークが目印として表示されています。
タイヤ公正取引協議会の実証試験によれば、転がり抵抗性能が1グレード良くなると、燃費が1%改善されると推計されています。例えば、低燃費タイヤの基準を満たさないCグレードのタイヤから最高グレードのAAAのタイヤに交換した場合は、燃費が4%改善されると推計されます。
クルマのタイプに適したタイヤの選び方
つづいて、クルマの形状や特徴に合わせて専用に設計されているタイヤの種類を紹介します。
「ミニバンタイヤ」とはどんなタイヤ?
ミニバンの主な車種 : ノア / ヴォクシー / アルファード / ヴェルファイア / セレナ / エルグランド / ステップワゴン など
ファミリー層に人気のミニバンは、クルマの天井が高く、車内空間が広く、重量が重めのクルマが多いのが特徴です。このミニバン向けに専用設計されたタイヤが「ミニバンタイヤ」です。セダンのような天井が低い普通車のタイヤとの違いは、大きく2つあります。
ふらつきを抑える
ミニバンは車内空間が広く快適ですが、そのぶんクルマの全高が高くなり、重心も高くなっています。そのため強風などにあおられやすいクルマです。「ミニバンタイヤ」は、このようなミニバン特有のふらつきを抑制するように設計されています。
偏摩耗(へんまもう)、片減りの低減
ミニバンはコーナリングをするときの車体が傾きやすく、それを支えるためにタイヤの外側に特に負担がかかってしまいます。そのため、タイヤの外側の溝が減りやすい傾向があります。これらを抑制するために、タイヤの内側と外側でゴムの硬さを変更したり、溝の切り方を変更したりするなどして、よりタイヤが長持ちするように設計されています。
「SUVタイヤ」とはどんなタイヤ?
SUVの主な車種 : RAV4 / ハリアー / ランドクルーザー / エクストレイル / ヴェゼル / CX-8 / フォレスター / ジムニー / ハスラー など
人気のSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)は、スポーツ用多目的車のことでレジャーやアウトドア向けの広い荷室を持ち、オフロードでも走りやすいのが特徴です。このSUV専用の「SUVタイヤ」とはどのようなものなのでしょうか。
ぬかるんだ未舗装の道路にも使用可能
SUVは、天井が低いセダンなどの普通車に比べ車高が高く、ミニバン同様にカーブなどでふらつきやすい特性があります。さらに車重も重いため、タイヤに負荷がかかりやすくなります。「SUVタイヤ」はSUVの特性に対応しつつ、利用シーンに合わせたさまざまな種類のタイヤがあります。
舗装された道路を想定したSUVタイヤには、高速走行時の安定性を重視したものや、乗り心地・快適性を重視したもの、燃費を重視したものなどがあります。また、ぬかるんだ未舗装路にも使用可能な悪路走破性を重視したものや、オールマイティな性能を持つタイヤなどもあります。
「電気自動車向けタイヤ」とはどんなタイヤ?
電気自動車の主な車種 : プリウスなどのハイブリッド車 / プラグインハイブリッド車 / リーフ / サクラ / アリア / テスラ など
環境にやさしいエコカーとして知られる電気自動車(EV車)やハイブリッド車(HEV車)、プラグインハイブリッド車(PHEV車)などの車両は、バッテリーやモーターを搭載していることで車重が重たいのが特徴です。その重さによりタイヤにかかる負担はかなり増えます。加えて電気自動車のモーターによる加速力はガソリン車と比べても強く、タイヤが摩耗しやすい特徴があります。
このような車重が重たくて加速力が強いクルマに合わせて、低燃費性能や乗り心地・静粛性、耐摩耗性に優れたタイヤが「電気自動車向けタイヤ」です。
求める性能やクルマにあわせたタイヤを選んで、安心で快適なドライブを楽しもう!
今回紹介したタイヤ以外にも、スポーツカーにおすすめのグリップ性能などを重視した「スポーツタイヤ」や、乗り心地や静粛性などの性能が特に高い「プレミアム・コンフォートタイヤ」、荷物を運ぶためのバンや軽トラックなど向けの「商用車用タイヤ」などさまざまな種類があります。
タイヤは、安全性と走行性能を確保するために大切なものです。普段のタイヤ点検を忘れずに行うとともに、クルマの種類や使用用途、重視する性能に合わせて、最適なタイヤを選びましょう。そうすることで、燃費や快適性、安全性も大きく変わり、より安全で快適なドライブを楽しめるでしょう。