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公開:2020.8.25
更新:2020.9.9

緊急時の車中泊の注意点とお役立ちアイテム【2020年版】

もしも自然災害などで、突然被災することになったとき、プライベート空間を確保するためや、人が密集した状態を避ける分散避難のひとつとして、また、小さい子どもやペットがいるなどの理由から選択肢の一つとして注目されているのが「車中泊」です。災害時のクルマでの移動・停車や体調管理など注意すべきポイントをしっかり押さえつつ、 安心・安全に過ごせるような役立つアイテムをまとめました。

目次

災害時の車中避難

自然災害発生時においては、原則、市町村があらかじめ指定した避難所に滞在することとされています。やむを得ない理由により避難所に滞在できず自動車内に避難する方に対しては、2016年の国会において、物資の配布や保健医療サービスの提供など必要な措置を講じるよう努めるべきとの見解がなされています。

 

当時は、災害時において自動車内に避難すること(車中避難)は想定されていない避難の形だったようですが、2020年では感染症予防など人が密集した状態を避けるため“分散避難”のひとつとして、車中で避難し寝泊まりを行う「車中泊避難」が注目を集めています。

 

ただし、災害時においてはさまざまな要因が複雑に絡み合うため、これが正解ということはありません。地域や行政からの最新情報を収集・理解し、指導に従うようにしましょう。

車中避難・車中泊で気をつけるべきこと

✓ 危険でない場所を選ぶ(避難するまでの移動経路も含む)

駐車する場所が、土砂崩れや浸水・倒壊した(もしくは、しそうな)建物の近くなどの危険がない場所か確認しましょう。また、坂道などに駐車しなければならない場合は、車止めをしておくことなども重要です。

避難場所にやむを得ず滞在できない場合、市町村が指定した駐車スペースなどに車中泊するなど、危険でない場所を選びましょう。

 

さらに、避難するまでの移動経路においても、同様に危険がないか注意する必要があります。

道路の状況によっては、避難場所までの移動に自動車を使わないと判断することも大切です。避難場所に行くまでのルートや手段は、日ごろから複数想定しておきましょう。

 

✓ エコノミークラス症候群に注意する

車中泊をするときは、いつもより狭い空間で寝ることになります。長時間にわたって窮屈な姿勢を続けていると、血行不良により脚に血栓ができやすくなり、それが肺の動脈を詰まらせ、、肺に詰まると肺塞栓になる恐れもあります。

車中泊をする際は、シートがフラットになる車内で、横になって眠れる場所を確保しましょう。

 

車内に滞在する際は、こまめに外に出て、軽い運動やストレッチ(かかとの上げ降ろし、ふくらはぎマッサージなども◎)、水分補給を取る、睡眠時は足を高い位置にするなど、予防を心がけましょう。

 

エンジンをかけてカーエアコンを長時間つけ続けるのはNG

暑さ寒さをしのぐために、エンジンを長時間かけ続けるのはいけません。ガソリンがなくなっていざというときに移動できなくなるだけでなく、雪でクルマの排気口(マフラー)が詰まることで逆流して一酸化炭素中毒になったという事例もあります。また、寝ている間に万が一シフトレバーやアクセルに触れてしまったりしたら思わぬ事故にもつながりかねません。

寒暖が厳しいときには、無理をせず他に落ち着ける場所を探すことも視野に入れましょう。

車中避難・車中泊で必要なもの

これらの注意点を理解したうえで、避難時にクルマを利用するときには、なるべくプライベート空間を確保し、普段に近い状態で寝られる環境を整えたいものです。常備している防災グッズ以外に、車中泊で役立つものを紹介します。

 

✓ 目隠しとして、窓を隠す [サンシェード・カーテン]

避難時といえど、プライベート空間を確保し、外からの視線をなくしたいですよね。すべての窓ガラスの目隠しがあれば、プライバシーが確保できます。フロントガラスにはサンシェード、サイドガラスやリアガラスにはカーテンをかけておきましょう。サンシェードは日除けとして普段からも使うことができます。

✓ ゆっくり身体を横にできる [エアマット(テントマット)]

車中泊で寝るときには、座ったままは厳禁、普段のようにまっすぐ身体を横になれる状態に近づけることが大切です。

座席シートをすべて倒したとしても、多くのクルマでは座面の凹凸が残り、寝るときに不自然なすき間ができて身体が痛かったり負担がかかり疲労します。そういうときに空気で膨らませるエアマットを用意しておけば、身体がまっすぐな状態を保て、睡眠の質が上がります。キャンプ用の一人用のものから自動車のサイズに合わせたエアマットもあります。

また、車中泊に限らず、災害時は硬いところで寝なければならない場合があるので、身体の負担を軽減する道具として用意しておくと便利ですよ。

 

✓ 暑さ・寒さをしのげる [防寒・保温シート]

自動車は外気の影響を受けやすく、夏は暑さ、冬は寒さに悩まされます。銀色の防寒・保温シートがあれば、窓ガラスやクルマの側面などからの断熱効果が期待できます。大きいサイズを用意して、すきまができないように、暑さ寒さに応じて使いましょう。また、窓ガラスのサイズにカットすれば、目隠しも兼ねられます。

✓ 夜の暗さから不安を和らげる [ライト]

車中泊で寝るだけだからといっても、ガラスが全面サンシェードやカーテンで覆われた暗い場所だとなんだか気持ちが滅入ってしまうかもしれません。眠りにつくまでの少しの間、やさしい明かりの中で、家族や親しい人たちで声をかけあい、明日に向けて励まし合いながら眠りにつけたら、希望も湧いてきそうです。

 

✓ 目隠し・防寒と万能な [大判タオル]

大判タオルは身体を拭いたり、掛け布団として使えるだけでなく、カーテンの代わりに目隠ししたり、エアマットの凹凸の調整など、幅広く役立ちます。

それだったらタオルだけ用意すればいいやと思いがちですが、タオルは万能な分、想定される必要なもの(カーテンなど)は専用のものを用意しておくことが大事です。

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「車中泊」を知ることも、防災のひとつ

自然災害においては、突然起きた状況にどう対応していいのか、何が正しいのか判断が難しいと思います。でも、もし被災するような状況になってしまったとき、「車中泊」という選択肢を置いておくことで、その注意点や役立つものを知っていれば、安全に過ごせることもあるかもしれません。

 

日頃の備えが、もしものときに役に立つことを忘れずに、しっかり防災対策を行っていきたいですね。

災害時の備えのひとつに! 防災に役立つクルマ活用法

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