一目ぼれした78プラドと、人生を変えた旅へ——vanlife_cruiserさんが見つけた"つながり"の価値
今までの安定した職を辞めて、北海道から九州まで約1年にわたり、トヨタ ランドクルーザープラド78(通称78プラド)とともに旅をするという選択をしたvanlife_cruiserさん。78プラドとともに走ったその旅路では、美しい景色に出会うだけでなく、多くの人との思いがけない出会いがありました。「今しかできないことをやりたい」——そんな想いで踏み出した旅が、vanlife_cruiserさんの人生をどのように変えていったのか。今回は、78プラドとともに旅をはじめたきっかけから旅で見つけた“つながり”の大切さまで、そのストーリーを伺いました 。
目次
きっかけは、78プラドの先輩オーナーとの出会い
―トヨタ ランドクルーザープラド78(通称78プラド)で、車中泊をしながら、日本各地を旅されているそうですね。この旅のスタイルを始めたきっかけを教えてください。
まず、今乗っている78プラドとは、当時、病院でリハビリ関係の仕事をしていたときに手に入れました。職場の旧車好きの友達の影響でSUVの旧車が気になっていて、街中ですれ違ったプラドに一目ぼれをしたんです。四角いヘッドライトとベージュカラーのボディが気に入って、それと型も色も同じクルマを探しました。約30年も前のクルマでしたが、岐阜県にあるということが判ったので、住んでいた山梨県から岐阜県まで現車を見に行って、見た当日に即決しました。どうしても乗りたい気持ちだったので、当時乗っていた新車を手放してプラドを選んだんです(笑)。ボディカラーの濃いめのベージュがドストライクで、このクルマを超えるベージュカラーを見たことがないくらい気に入っています。
―新車を手放して78プラドに乗り換えるとは、すごい決断力ですね!
そして旅を始めたきっかけは、病院で高齢の患者さんと接する中で、健康で自分次第で自由に使える時間があるうちに、「今しかできないことをやりたい! 」という思いが強くなったことです。
そんなとき、Instagramで、わんことバンライフを楽しむ人向けのイベント『VAN WAN LIFE』を主催されている、vw1303take(※)さんのことを知ったんです。同じ車種に乗っていたり、偶然同じ犬種(チワワ)を飼っていたりと、不思議と共通点がいくつもあることがわかりました。彼のおしゃれなカスタムや時間や場所にとらわれないスタイルの旅をしているのに憧れて、すぐ連絡を取りました(笑)。
それから実際にお会いしてみると、なぜか話すだけでわくわくして、楽しかったんです。そして“自分もバンライフをやってみよう”と決心しました。vw1303takeさんに出会って僕の人生は大きく変わったので、本当に感謝しています。
vw1303takeさん(左)とvanlife_cruiserさん(右)
※編集部注:vw1303takeさんは、過去に暮らしとくるまでもインタビューさせていただきました。
vw1303takeさん過去のインタビュー記事はこちら
半年かけてつくり上げた、車内空間
―車内空間は居心地よくなるよう、工夫をされているようですね。どうやってカスタムを進められたのでしょうか。
いろいろなイベントで同じクルマに乗る人の車内を見たり話を聞いたりして、理想のイメージを固めていきました。その後、Instagramで知り合ったDIYが得意な方に協力してもらい、自分も手伝いながら週末ごとに少しずつ作業を進め、約半年かけてようやく完成しました。完成したときは、イメージしていたものが現実になって、本当に感動しました。
―カスタムでこだわっているポイントや、工夫しているところはなんですか?
78プラドの車内空間はそれほど広くないので、省スペースで収納できるようにいろいろと工夫しています。特に荷室に設置している、ドロアーシステムとIGT規格のテーブルですね。
―それはどんな設備なのでしょうか?
ドロアーシステムとは引き出し式の車内収納で、停車中にリアゲートを開けて引き出せば、その場でテーブルやコンロを使えるんです。引き出し式になっていて、車内が狭いなかでも床下に収納して持ち運べる優れものです。既製品のテーブルを、引き出し式にすれば荷室に収めて運べるんじゃないか? 」という僕のアイデアを形にしてもらいました。
床下から引き出せば、どこでもサッとお湯を沸かせる
それから、最近はコンパクトな収納スペースを確保するために、木材で棚を自作してみました。
“今しかできないことをしたい”、踏み出した人生を変える旅
―快適にバンライフをできるように、さまざまなカスタムを施されたんですね。それでは、どんな場所を旅してこられましたか?
旅先は、住んでいた山梨県から“なるべく遠い場所に行きたい”と考えて北海道と九州を選びました。北海道に半年、九州に2〜3か月、合計約1年にわたって旅をしました。もちろん旅をするには資金が必要なので、現地では住み込みで働きながら休日にクルマで各地を巡るという方法を選びました。
九州滞在中に訪れた宮崎県都井岬(といみさき)
―病院での仕事を辞めてまで、旅に出るという大きな決断をされたんですね。
はい “今しかできないことをやろう”という想いと、vw1303takeさんへの憧れ、そして自由に動けるタイミングが重なって、思い切りました。実はもともとアウトドアが特別好きだったわけではないのですが、それでも「やってみたい」という気持ちが勝って、仕事を退職した翌日には78プラドと一緒に北海道行きのフェリーに乗っていましたね。
北海道での思い出の風景のポストカード
―今までの環境に区切りをつけて新しい環境に飛び込むのに、不安はありませんでしたか?
もちろん不安はありましたし、失うものも多いですけどね(笑)。でも、この選択をしたからこそ知らない世界をたくさん知ることができたので、後悔はしていません。
絶景の中で味わう、特別な一杯のコーヒー
―旅の中で好きな時間はどんなときですか?
コーヒーが好きなので、景色のいい場所で豆を挽(ひ)いて飲む時間が好きですね。静かな山の中に響く川の音を聴きながら、木々の隙間から差し込む光を眺めつつ、自然を楽しみながら飲む一杯は最高においしいです。
家ではインスタントコーヒーで済ませてしまうことが多いんですが、外だと不思議といい豆を用意して、豆を挽くところから始めて丁寧に入れたくなるんですよね。景色のおかげもあって、よりおいしく感じます。
―カフェを楽しむときに、お気に入りのアイテムはありますか?
白いマグカップです。神奈川県茅ヶ崎にある、大好きなカフェを撮影をさせていただいたときに購入したもので、その縁も含めてとても思い出深いアイテムですね。
思い入れのあるマグカップでいただくコーヒー
旅が教えてくれた、人とのつながりの大切さ
―旅を始めてから、ご自身の中で変化はありましたか?
ありますね。旅先での出会いを通して、人とのつながりをすごく大切にするようになりました。今は、旅先でおいしいものを食べたり、景色を味わったりすることはもちろんですが、旅先での人との出会いを楽しむことも大切にしています。
―人とのつながりを感じる旅だったのですね。思い出に残る出会いはありましたか。
旅先では、駐車場にクルマを停めていると、クルマが古いこともあって、愛車をきっかけに話しかけてくださることがよくあります。お話をして仲良くなったおじさんと一緒にハイキングをしたり、銭湯に行ったりしたこともあります(笑)。
―クルマが人と接点を生むきっかけをつくってくれているのですね。そうした経験はvanlife_cruiserさんが大切にしている価値観にも影響していますか?
かなり影響していますね。どこへ行くかよりも、「誰と出会うかで人生は変わる」ことをすごく実感するようになりました。旅をするなかで出会った人とのつながりが今も続いていて、最近の旅は「会いたい人に会いに行く」ことも目的のひとつになっています。
“人と人がつながる場”をつくるという選択
―現在、人と人ををつなげる『GOAT CREW MEETING』というイベントを運営されていると伺いました。こちらは、どんなイベントなのでしょうか。
『GOAT CREW MEETING』は、”人とのつながり”をテーマに、クルマと人が集まるイベントです。クルマをきっかけにして、イベントを通じて「人と人がつながること」を大切にしています。
運営メンバーの皆さん
―どんな想いで運営されているのでしょうか?
クルマのイベントって、まず愛車を見ることや、クルマの話をすることが中心になりがちだと思うんです。でもそれだけだと、そのクルマに乗っている人というよりも“クルマそのもの”を見ている感じがして、もっとオーナーにも目を向けてほしいな、と思うんです。
だから、自分たちの運営するイベントは、「人と人の関係」も大事にしたいと考えています。きっかけはクルマでも、人同士がつながっていれば、もしクルマを乗り換えても、また会えると思うからです。参加メンバーのなかで自然と会話が生まれて、「また会いたい」と思える関係ができる場にしたいと思っています。
2025年11月のイベントには約70名もの方が集まったそう
―旅で感じた価値観が、そのままイベントにも反映されていますね。
クルマがつないだ縁。旅が教えてくれたこと
一目ぼれした78プラドとの出会いから始まり、「今しかできないことをしよう」と決断した旅。
その旅先で見つけたのは、景色や自由だけではなく、“人と人とのあたたかなつながり“でした。クルマがあるからこそ生まれる出会いや、その後も長く続いていく関係。それらが、今のvanlife_cruiserさんの暮らしを形づくっています。
「どこへ行くか」よりも「誰と会うか」が大事——そう気づいたのも、78プラドとともに旅を続けてきたからこそ。そしてまだ見ぬ景色の向こうには、きっとまた新しい出会いがあります。78プラドとともに、vanlife_cruiserさんの旅は、これからも続いていきます。
